WirelessHARTを使ってIIoTへの第一歩を踏み出すには
今日は、まず質問から始めましょう。IIoTと聞いて、あなたはどんなイメージをお持ちですか?では、推察してみます。お客様の工場ではまだ4~20mAの信号を使っていて、短期的には特に何も計画がないのではないでしょうか?
現在ではほとんどの4-20mA出力のフィールドデバイスにはHART通信が搭載されていますが、主にデバイスのステータスメッセージを読み取ったり、コンフィギュレーションを変更するために使用していますがどうでしょうか?
IIoTの実装は、お使いの4-20mA/HARTシステムに変更を加えることなく、すぐにできると言ったらどうお感じになりますか?そうです。お客様のHARTデバイスは、ほとんどのデジタルデバイスと同レベルのインテリジェンスと情報を備えているのです。その上、この情報の取得とクラウドサービスへの統合は、お客様が考えるよりもはるかに簡単なのです。
ここでは、IIoTのコンセプトと、それを実現するためのシンプルな方法をご紹介しますので、工場のIIoT化へ向けた第一歩を踏み出してみませんか?
IIoTとは?
いわゆる第3次産業革命の頃、機械やプロセスを自動化することが考えられていました。これは、特定のプロセス値を測定し、それに制御アルゴリズムを適用し、その結果得られた出力値を使ってバルブを作動させたり、ポンプモーターの速度を変えたりすることができるシステムを導入することを意味していました。
自動化することで、時間と人手を節約し、生産効率と品質を向上させることができました。
現在、第4次産業革命と言われる、IIoTやインダストリー4.0では、スマートなセンサや機械から大量のデータを効率的に取得しようという考えがあります。これにより、プロセスの最適化を目的とした分析のためにデータを活用することができます。
その結果は、分析、健康情報、ドキュメントライブラリなど、さまざまなアプリケーションで利用でき、それぞれに必要な情報がすべて表示されたわかりやすいユーザーインターフェースが用意されています。
産業におけるIIoTの可能性とは?
貴重な情報の大半は、現場に(眠って)います。これは、プロセスを改善したり、工場の計画外停止を回避するのに役立つ情報です。スマートデバイスというと、革新的な通信技術を採用した今日的なデバイスしか目に入らないのではないでしょうか?
しかしながら、HARTのフィールドデバイスは、FOUNDATION Fieldbus(FF)やPROFIBUS(PB)のフィールドデバイスに見られるようなIDM(Intelligent Device Management)も備えています。
また、FFやPBのフィールドデバイスが制御システムとデジタル通信を行うのに対し、HARTデバイスは4〜20mAの信号をコントローラに送っているだけではないでしょうか。HART通信を使用していなければ、貴重な情報は機器の中に眠っているのです。
しかし、情報が失われたわけではありません。今日、IIoTソリューションは、制御システムとは独立してHARTデバイスのデータを収集・分析し、プロセスに関連する知見を提供することができます。健全性の分析は、予定外の修理や予定外のシャットダウンの数を減少させることが知られているので、これはプロセスの改善に直接影響します。
WirelessHARTとは?
無線通信には様々な種類がありますが、最もよく知られているのはWirelessHARTとBluetoothでしょう。どちらのネットワークも産業用環境で確実に動作し、安全で堅牢な接続性を提供します。
今回は、WirelessHARTについてお話したいと思います。まだまだ馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、WirelessHARTは世界中の様々な業界でその地位を確立しています。2004年に開発されたこのプロトコルは、2007年に市場に投入されました。2010年には国際規格であるIEC 62591が制定されました。
簡単に言うと、WirelessHARTは2.4GHzの周波数で動作し、時分割多重アクセス(TDMA)メカニズムを使用してネットワーク内のすべてのデバイスを同期させ、各デバイスはゲートウェイと通信します。
さらに、WirelessHARTは、IEEE 802.15.4に基づくメッシュネットワークで動作します。これは、信頼性と安全性の高いネットワークを確保する2つの方式を組み合わせたものです。FHSS(Frequency Hopping Spread Spectrum)とDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)です。
デバイスにはWirelessHARTが内蔵されているものと、WirelessHARTアダプタが装備されているものがあります。後者は、4-20mA/HART機器やアナログ機器をワイヤレス機器にアップグレードします。
IIoTアプリケーションにおけるWirelessHARTの実装方法は?
4-20mA信号のみを使用して制御システムに接続しいているHARTフィールドデバイスが、プラントに設置されているのであれば、WirelessHARTアダプタがその答えとなります。これは、機器のすべてのスマート情報を収集し、ゲートウェイに配信する簡単な方法です。
そして、その情報をエッジデバイスに送信し、エッジデバイスはその情報を安全にクラウドサービスに統合することができます。
アプリケーションにもよりますが、WirelessHARTソリューションは、通常、同じデータを収集するためにマルチプレクサを使用するよりも、時間とコストを節約できます。WirelessHARTアダプターは、バッテリーで駆動もできますし、デバイスのループから駆動電源を得ることもできます。
機器に直接取り付けすることも、分離して取り付けすることも可能です。アダプターは、工場のインフラを大幅に変更することなく、迅速かつ容易に追加することができます。
ネットワークの技術的特性のおかげで、ネットワークを拡張したり、工場内に複数のネットワークを設置したりすることができます。ネットワークのサイジングにはいくつかのルールがありますが、Endress+HauserのようなHART接続に対応したIIoTサービスの信頼できるプロバイダーは、ネットワークアーキテクチャに関して必要なサポートをすべてご提供いたします。
重要なタグをWirelessHARTで監視するメリットは何ですか?
プロセスにおける予定外のシャットダウンを回避するためには、重要なタグは常に監視する必要があります。ほとんどの場合、既存の4-20mAインフラに標準的なデジタルソリューションを後付けすると、高い投資コストがかかります。
しかし、WirelessHARTアダプターは、最小限の労力と投資でオンラインモニタリングのメリットを得ることができる簡単な方法です。
オンラインの機器の健全性監視がなければ、メンテナンスに多くの時間と費用がかかります。デバイスに問題が発生した場合、フィールドエンジニアは、何が起こっているのかを把握し、エラーを見つけ、それを修正するために、IIoTの機器健全性監視サービスを利用した場合よりも多くの時間を必要とします。
Netilion Healthのような高性能オンラインの機器健全性監視サービスは、フィールドデバイスを継続的に監視することができます。ネットワークをエッジデバイス経由でクラウドに接続することで、どこにいてもすべての重要なデータにアクセスすることができます。
この技術は、すでに世界中のHARTプロトコルを使用した多くのアプリケーションで実装されている、堅牢で安定した無線通信技術です。これらのデータはすべて暗号化されセキュアに取り扱われます。現地の法律、規格、データセキュリティガイドラインに準拠したエッジデバイスを搭載したIIoTソリューションをお選びください。
一般的なIIoTサービスのサイバーセキュリティ、特にNetilionのサイバーセキュリティについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。IIoTによる産業プラントのサイバーセキュリティ。
重要なタグの健全性監視のための簡単な手順
WirelessHARTがいかにIIoTの実装をシンプルにするかご紹介しましたが、どのように機能するのでしょうか。Netilion Healthを使って重要なタグのオンライン監視を開始するための簡単な手順を説明しましょう。
工場内の重要な機器を見つける:最初に、どの計測とデバイスがプラントで重要であるかを見つける必要があります。その後、Endress+Hauser と協力してWirelessHARTネットワークのサイズを決定し、ワイヤレスアダプタ、リピータ、WirelessHARTゲートウェイが何台必要かを調べます。
- 工場内の重要な機器を見つける:最初に、どの計測とデバイスがプラントで重要であるかを見つける必要があります。その後、Endress+Hauser と協力してWirelessHARTネットワークのサイズを決定し、ワイヤレスアダプタ、リピータ、WirelessHARTゲートウェイが何台必要かを調べます。
- これらの機器にワイヤレスアダプターを装備:重要なデバイスには、それぞれ1つのアダプタが必要で、機器に直接または分離して設置できます。
- ワイヤレスゲートウェイに接続:すべてのアダプタにネットワークIDとジョインキーを設定すると、ワイヤレスゲートウェイに自動的に接続されます。ワイヤレスゲートウェイは、フィールドデバイスからすべての情報を収集します。
- ワイヤレスゲートウェイをフィールドエッジSGC500に接続:WirelessHARTゲートウェイSWG70はNetilionに対応しているので、仕様に従ってSWG70のHARTアドレスとポートを設定した後、エッジデバイスSGC500に接続することができます。その後、フィールド・エッジをインターネットに接続します。
- Edge Deviceを設定し、Netilionへの接続を確定:Edge Device SGC500を構成してNetilionアカウントに接続し、設置を完了します。
これらのステップが終われば、Netilionエコシステムでデータ収集を開始する準備が整い、Netilionサービスを介してデータを活用できるようになります。例えば、Netilion Heathサービスは、これらの簡単な手順を踏むだけで、スマートフォン、ラップトップ、またはタブレットを使って、どこにいてもアセットに関する詳細な健全性の情報を提供します。
さらに、アセットのすべての情報を追跡したり、イベントの概要をグラフィックで表示したり、自己診断情報の履歴にアクセスして詳細な情報を得ることができます。実際に使ってみたいと思いませんか?無料で試して、魔法が起きるのを見てみましょう。